知っておきたい!介護食の種類(1)

知っておきたい!介護食の種類(1

~食べる機能に適した食事のヒント~

監修:管理栄養士 髙﨑 美幸 先生
制作・編集:メディバンクス株式会社

自分が、あるいは介護する人が普通の食事が食べづらくなったとき、調理で工夫する場合と市販の介護食品を活用する方法があります。
これら2つの方法についてそれぞれ説明しましょう。

1.食べる機能が低下したときに
つくる介護食


介護食の種類

加齢や病気によって食べる機能(噛む力・飲み込む力)が衰え、食事が楽しめなくなったり、むせやすくなったりした人のために、大きさ・やわらかさを調整することで食べやすく工夫したものが「介護食」です。
噛みやすく、飲み込みやすい食事のためには形状を工夫する必要があり、次のような種類があります。それぞれ長所・短所がありますので、上手に活用してください。

●通常の食事を細かく刻んだ『きざみ食』
 例)きざんだ豚肉のしょうが焼き

【野菜(にんじん・大根・かぶなど)】


【めん類】
箸で食べる場合は5~10cm程度、スプーンで食べる場合は3~5cm程度を目安とする。

大きさはいずれも目安であり、本人の食べる機能と食べ方に合わせた調整を行う必要があります。
医師や管理栄養士など専門家にご相談ください。

長所 家族と同じ食事を使える
 短時間で用意できる
短所 口の中でばらけてまとまりにくく、汁がサラサラだとむせやすい

●食材を選び、歯ぐきや舌でつぶせるくらいにやわらかく調理・工夫した『軟菜食』 
 例)サバの味噌煮、カボチャのやわらか煮(皮なし)

長所 形があり、食材の味を味わえる
   普段の料理の中から使えるものが多い
短所 食材選びに工夫が必要(むせたり、のどに詰まりやすい食材は避ける)
   やわらかく調理するのに時間がかかる(長めに煮る・蒸すなど)
歯ごたえ(噛み心地)を感じにくい

●なめらかにした食材をゲル化剤などで固めた『ムース食』 
 例)ハンバーグ風ムース

長所 固まっているので、盛り付けの工夫がしやすい
   型を使えば、自由に成形しやすい
短所 ミキサーにかけるときの水分で、味や栄養成分が薄まる
   ミキサーにかけたり、固めたりする必要があるため手間がかかる

●噛む必要がないほどなめらかでミキサー食より固形感の残る『ペースト食』 
 例)少しゆるめたマッシュポテト

長所 家族と同じ食事を使える
   ミキサーにかけるときの水分量はそれほど多くないため、味や栄養成分が薄まりにくい
短所 ミキサーにかける必要があるため手間がかかる
   見た目では材料がわかりにくい

●噛む必要がないほどなめらかな液体状にした『ミキサー食』
 例)ポタージュ

長所 家族と同じ食事を使える
   ミキサーにかけるときの水分量が多いため、水分も摂れる
短所 ミキサーにかけるときの水分で、味や栄養成分が薄まる
   ミキサーにかける必要があるため手間がかかる
   見た目からではなんの料理かわかりにくい

このほか、汁物や飲み物はむせやすいので、片栗粉や市販のとろみ調整用食品などでとろみをつけるとよいでしょう。

介護食を作るときの注意点

体が衰え、思うように活動できなくなった高齢者や介護される人にとって、食事は数少ない楽しみのひとつです。
食べやすさ・飲み込みやすさを重視するあまり、見た目を二の次にしてしまっては、食欲もなくなってしまいます。
食べる意欲を引き出す彩りや盛り付けにも配慮し、体力を落とさないためにもたくさん食べてもらいましょう。
たとえばムース食は、食材ごとに作ると、見た目や形をはっきりさせることができるので、食欲アップにもつながります。
形の整ったムース食を手作りするのは負担が大きいと感じたら、市販のムース食などを活用してみるのもひとつの手段です。

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