隠れ脱水とは(1)

隠れ脱水とは(1

潜む危険と見逃せない兆候

監修:管理栄養士 髙﨑 美幸 先生
制作・編集:メディバンクス株式会社

脱水とは、生命を維持するために必要な水分や電解質(塩分など)の体液が減少した状態を言います。
「脱水症」は進行するまで明らかな症状が現れにくい病気の一つです。
そのため、脱水症になりかけているにもかかわらず、本人も周囲も気づかない状態を「隠れ脱水」と言います。「脱水症の一歩手前」と言い換えてもいいでしょう。
隠れ脱水の段階で気づいて予防することができれば、重度の脱水が起きにくくなります。
特に大量に汗をかく夏場は、脱水により熱中症も起こりやすくなるので注意が必要です。

1.静かに忍び寄る「隠れ脱水」とは何か


隠れ脱水のメカニズム

私たちの体からは、毎日、汗・尿・便などで水分が排出されています。体外に出ていくこれらの水分量と、口から補給する水分量が同じくらいの場合、ちょうど良いバランスが保たれます。そのため水分が不足し始めると、のどが渇くという自然のメカニズムが働き、水分補給が促されるようになっています。
ところが、高齢になるとこのメカニズムが働きにくくなり、水分補給をせずに過ごす時間が長くなって「隠れ脱水」が起きやすくなります。

私たちの体からは、毎日、汗・尿・便などで水分が排出されています。体外に出ていくこれらの水分量と、口から補給する水分量が同じくらいの場合、ちょうど良いバランスが保たれます。そのため水分が不足し始めると、のどが渇くという自然のメカニズムが働き、水分補給が促されるようになっています。
ところが、高齢になるとこのメカニズムが働きにくくなり、水分補給をせずに過ごす時間が長くなって「隠れ脱水」が起きやすくなります。

「隠れ脱水」の恐ろしさ

隠れ脱水が進行して脱水が本格化すると、血液が濃縮されるため粘度が増して血管が詰まりやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞を起こす原因ともなります。また、脱水状態では「薬の副作用が起こりやすくなる」「病気が重症化したり、治癒が遅れたりする」ほか、重症化すると「意識障害」や「けいれん」などが発生する場合もあります。隠れ脱水の段階で発見し、対策を取ることが非常に重要です。

2.高齢者が特に注意すべき理由


高齢者は隠れ脱水になりやすい

体の水分は主に筋肉に蓄えられていますが、加齢とともに筋肉量が減っていくため、高齢者の体内の水分量は若い人に比べて少なくなります。
また、次のような理由から水分の摂取量も減りがちです。
高齢になると、隠れ脱水は誰にでも起こり得ると言えるでしょう。

●のどの渇きを自覚しにくい
加齢により「のどの渇き」を感知する機能が低下します。
また、夏場はエアコンの使用により暑さを感じにくくなり、水分を摂らない時間が長くなることがあります。

●腎臓の機能低下による水分再吸収不足
腎臓の機能が低下し、水分や電解質を再吸収する能力が弱まるので、十分な水分が体に保持されにくくなります。

●全体的な食事量の不足
食事も水分を摂る重要な機会ですが、食が細くなり、食事量が不足しがちで、食事からの水分摂取量も減少します。

●“むせ”が起きやすく、水分摂取を控える
水分を摂ると起こる“むせ”が気になり、水分摂取を控えてしまう場合があります。

●頻尿が気になり、水分摂取を我慢する
トイレに行く回数を減らそうと水分摂取を控える場合があります。

●利尿作用をもつ治療薬の影響
心不全や高血圧といった持病により利尿作用のある薬を服用している場合、体から出る水分(尿)量が増え、脱水のリスクが高まることがあります。

●水分補給への対応の遅れ
体調や気候によって必要な水分量は変わりますが、高齢になると水分不足を感知する機能が低下し、水分補給が遅れがちになります。

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