その食形態はあなたに合っていますか?(1)

その食形態はあなたに合っていますか?(1

食べる力に合わせて選ぶことが大事

監修:管理栄養士 髙﨑 美幸 先生
制作・編集:メディバンクス株式会社

これまで普通に食べていた食事が、嚙み切れなくなったり、飲み込めずにいつまでも口の中に残るようになった場合は、食形態(食べ物の固さや大きさ、形状)の見直しが必要なサインかもしれません。
食事がおっくうになると、体に必要なエネルギーや栄養が十分に摂れず、筋肉を維持することができなくなります。
その結果、サルコペニア(筋力低下)やフレイル(心身の虚弱状態)を引き起こして寝たきり状態になりかねません。
そのときどきの自分に合った食形態を選ぶことは健康を維持するうえで重要です。

1.食形態の調整はなぜ必要?


食形態の調整とは

食形態を調整するとは、食べやすくするために固さや大きさ、形状、粘度を工夫調整することです。
通常、食べ物は咀嚼することで唾液と混ざり、やわらかくまとまってのどへ送られます。
しかし、加齢により次のような症状が見られる場合は、食形態の調整が必要かもしれません。

●噛む力の低下:いつまでも嚙み切れない
高齢になると、歯の数が少なくなり、食事を嚙み切れなくなったり、噛む時間が長くなったりします。
その結果、やわらかい食事に偏りがちになる、あるいは食事自体を避けるなどして、体に必要なエネルギーや栄養が摂れなくなるおそれがあります。

●飲み込む力の低下:いつまでも飲み込めない
加齢により唾液の量が少なくなると、噛み砕いたものを飲み込みやすい状態にまとめるのが難しくなります。
また、歳をとると筋力が低下し、のどの筋肉も衰えます。反射機能の低下により、「ごっくん」という飲み込みのタイミングがずれて、食物が食道ではなく気管に入り込み、誤嚥性肺炎を引き起こす場合があります。
噛む力・飲み込む力が低下してきたら、食事で疲れないように、食べやすい食形態を選び、十分な食事量を確保しましょう。一般的には、やわらかいものや程よく小さくしたものが適しています。

のどの鍛え方

噛む力は、歯や舌の清掃、義歯のお手入れなど口腔ケアをまめにすることで対処できます。
飲み込む力の衰えを感じたら、日ごろからのどや首周りの筋肉を鍛えることをおすすめします。

食べる楽しみをいつまでも

食形態を調整することで、多くの食品を楽しく摂れるようにし、栄養バランスを保ちましょう。
あらかじめ飲み込みやすく作られている市販の介護食品を活用するのも、食べものの種類を減らさないよい方法です。
常温保存ができ、お皿に移さなくてもそのまま食べられる容器のものは、普段の食事としても災害時の非常食としても便利なので、ストックしておくことをおすすめします。

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